○坂東市菅生沼の自然景観保全条例

平成26年9月18日

条例第20号

菅生沼は、坂東市の南部に位置し、緑豊かな水辺空間として古くから地域住民に親しまれてきた地である。毎年、多くのコハクチョウやカモ類等が飛来してくることから、首都圏でも有数の野鳥観測地として知られている。また、絶滅危惧種として指定されているタチスミレをはじめとする植物等も生息している。

一方で、洪水時には遊水地として機能し、地域住民の安全な暮らしを守る上で重要な地であり、その昔は魚類を採集し、水草は馬の飼料に、葦は葦簾に用いるなど、人々の生活のための恵みの沼とされてきた歴史がある。

私たちには、この生態系を含む大切な自然環境や景観を保護するとともに、防災機能としての重要な役割やこれまでの歴史を再認識し、この環境を将来の世代に確実に引き継いでいく使命がある。そのため、この貴重な菅生沼を保全し、継承することを目的としてここに条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第14条第2項の規定に基づき、他の法令に特別の定めがある場合を除くほか、菅生沼一帯の貴重な自然環境(動植物の生態系を含む。)及び良好な景観(以下「自然景観」という。)の保全について必要な事項を定めることにより、自然景観を将来の世代に継承することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 市民等 市内に居住する者及び市内に土地、建物等を所有し、占有し、又は管理する者並びに菅生沼へ来訪する者をいう。

(2) 工作物等 建築物、工作物、広告物等、自然景観に影響を与えるものをいう。

(市の責務)

第3条 市は、自然景観が保全されるよう適切な措置を講ずるとともに、自然景観の形成を図る上で先導的な役割を果たすよう努めなければならない。

(市民等の責務)

第4条 市民等は、自らが自然景観を形成していく上での主体者であることを認識するとともに、相互に協力して自然景観づくりに努めなければならない。

(自然景観保全区域の指定等)

第5条 市長は、自然景観として保全すべき区域を、自然景観保全区域(以下「保全区域」という。)に指定することができる。

2 市長は、前項の規定による指定に当たり、必要と認めるときは、坂東市環境審議会条例(平成17年坂東市条例第120号)に規定する坂東市環境審議会の意見を聴くものとする。

3 保全区域を指定したときは、その区域を告示しなければならない。

(保全区域の指定の取消し)

第6条 市長は、保全区域として指定する必要がなくなった場合及びその他特別な事由があるときは、当該保全区域の指定を取り消すことができる。

2 前項の場合においては、前条第2項及び第3項の規定を準用する。

(保全区域における行為の許可)

第7条 保全区域において、次の各号のいずれかに該当する行為をしようとする者は、あらかじめ市長の許可を受けなければならない。

(1) 土地の形質を変更すること。

(2) 土石の採取及び木竹の伐採並びに草木を採取すること。

(3) 工作物等を設置すること。

(4) その他自然景観を阻害し又は阻害するおそれのあること。

2 市長は、前項の規定に違反し、同項各号に定める行為を行い、又は行おうとする者に対し、当該行為の中止若しくは計画の変更を命じ、又は相当の期限を定めて原状の回復を命じ、若しくは原状回復に代わる措置をとるよう命ずることができる。

3 市長は、第1項の許可申請者に対し、自然景観を保全するため必要があると認めるときは、必要な措置について、指導し、勧告し、又は許可に条件を付することができる。

4 次に掲げる場合は、第1項の規定を適用しない。

(1) 所有地の軽易な管理行為をする場合

(2) 非常災害のために行う場合

(是正措置)

第8条 市長は、保全区域において、自然景観が著しく阻害されていると認められる場合は、原因者、所有者及びその他の関係者に対して保全に配慮した是正措置を勧告することができる。

(立入調査)

第9条 市長は、必要があると認めるときは、関係職員を実地に立ち入らせ、その状況を調査することができる。

2 前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

(国等の機関に関する特例)

第10条 国又は地方公共団体の機関が保全区域内で行う第7条第1項各号に規定する行為については、あらかじめ市長に協議し、同意を得なければならない。

(委任)

第11条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成27年1月1日から施行する。

坂東市菅生沼の自然景観保全条例

平成26年9月18日 条例第20号

(平成27年1月1日施行)