○坂東市土採取事業規制条例指導要領
平成17年3月22日
訓令第70号
1 総則
1 土採取事業(土を採取する事業)の意義
一般的に土採取事業という場合には、一定の利用目的をもって土を掘削し、これを他に移動する事業を意味するが、坂東市土採取事業規制条例(平成17年坂東市条例第151号。以下「条例」という。)は、土採取事業に伴う災害を防止するとともに採取跡地の適正な整備を図ることにあるので、この目的に照らし合わせて「採取」という語句の一般的意味にとらわれず、単なる土の掘削又は切取り等であっても災害の発生等につながると一般的に認められる場合は、この条例が当然適用されるものである。
2 自然環境の保全
3 土地所有者の責務
土採取事業を行う者と土地所有者が異なる場合、この条例にいう目的に合致しない土採取事業が行われ、往々にして採取跡地が適正な整備をなされないまま放置されているような例も見受けられる。
4 適用除外について
この条例において適用除外になるものは
(1) 国又は地方公共団体が行う事業
(2) 各根拠法令等に基づいて行わせる直接の行為又は工事に限られ、根拠法令に基づく場合でも、当該行為又は工事に必要な「土」を確保するため別の場所で土採取を行う行為は適用除外にならない。
5 土採取事業許可の届出に必要な書類
(1) 土採取事業許可申請書
(2) 土の採取場(以下「採取場」という。)の位置を示した縮尺2,500分の1以上の地図
(3) 採取場及びその周辺の状況を示した縮尺1,000分の1以上の見取図
(4) 採取場から国道又は県道までの間の通路の平面図
(5) 採取場の土地の縮尺1,000分の1以上の実測平面図
(6) 採取場の土地の実測縦断面図に当該土地の採取後の計画地盤面を記載したもの
(7) 採取場及びこれに隣接する土地の公図の写し
6 土採取事業許可申請書等を受付する場合の留意事項
(1) 土採取事業の許可申請があった場合には、申請者が土の採取を行う土地について権利関係の調整を完了しているか事情を聴き、土地所有者、地元民との調整、他法令等による許可又は認可を必要とする事項等に不備があるときは、申請者自ら権利関係の調整を充分行うよう指導し、補完後許可申請書を受付するものとする。特に他法令等の許可、認可等を必要とする事項の場合は、当該処分等を受けているか、又は受ける見込みのあることを書面その他によって確認するものとする。
(2) 土の採取を行う土地についての権利関係についても可能な限り確認(特に土地の所有者の同意を確認する。)するものとする。
(3) 土採取事業許可申請書の各申請事項の審査は、「土採取事業指導技術基準」により行うものとする。
2 土採取事業指導技術基準
1 掘削について
採取工法は、通常「階段式工法」「傾斜式工法」「平面式工法」で行い、いわゆる「エグリ掘り」は行わないこと。また、採取後の最終のり面は、(2)最終のり面のような安定のり面を確保するものとし、隣地との保安距離は、最少限度2メートル以上を残すものとすること。ただし、隣地に人家又は公共施設等がある場合は、土質及び地形を勘案し、保安上必要な距離をとること。
なお、擁壁等の堅固な構造物を設ける場合は、この限りでない。
(1) 採取工法
条例が、土の採取に伴う土砂の流出等の災害防止を主眼としていることから採取途中の災害防止に努めるものとし、極力「切下げ方式」を採用すること。
階段式工法 | 傾斜式工法 | 平面式工法 |
(2) 最終のり面
最終のり面は、図のとおり階段を設ける場合及び設けない場合とがあるが、極力、階段を設けること。なお、階段を設ける場合は、切土5メートル以下で、階段幅は2メートル以上とする。
(3) 掘削の深さ
掘削の深さは、掘削する場所の周辺の土地のうちの最も低い部分よりも低くしないものとすること。
(4) 切土の標準こう配
切土の標準こう配は、土質及び切土高に応じ、次の表(標準こう配)に示す角度以下にすること。ただし、1日の作業終了時のこう配が、標準こう配に達する見込みの場合は、土質、気象条件、作業機械の能力等を勘案し、標準こう配の10パーセントを超える範囲内で、掘削することを許容してよい。
切土の標準こう配
土質 | 切土高5メートル以上の場合 | 切土高5メートル以下の場合 |
軟岩(風化の著しいものを除く。) | 60° | 70° |
風化の著しい岩 | 40° | 50° |
砂利・真砂土・粘土その他これらに類するもの | 30° | 40° |
2 災害防止等について
(1) 崩壊防止対策
ア 現場責任者は、絶えず地山の亀裂、陥没等の異常の有無並びに含水、ゆう水の状態を監視するとともに、計画的採取に努めること。
イ 1日の作業終了時に、落石、倒木のおそれある浮石や立木がある場合は、その日のうちに除去すること。
ウ 気象状況に絶えず留意し、早目に作業中止するとか危険箇所の処置をする等、適切な措置を講ずること。
(2) 土砂流出対策
土採取中、集中豪雨その他の原因で土砂が付近に流出しないよう土俵積、土盛堤、さく等の仮設工を行い、完了後も土砂流出のおそれがある場合は、擁壁、ダムその他これに代わり得る施設を築造し、土砂の流出に対処すること。
(3) 排水施設
ア 土採取中、表面水によってのり面が洗掘されたり崩壊したりするおそれのある場合は、のり肩に接する地山にのり肩に沿って素掘側溝、コンクリートトラフ等による排水溝を設置し、地山よりの流水がのり面に流れ込まないよう処置すること。また、完了後は、のり肩線又は小段に集排水溝、斜水溝、更に接合点には集中ます等も考慮して円滑に排水すること。
イ ゆう水によってのり面が洗掘されたり崩壊したりするおそれのある場合は、水抜きのための水平孔、盲きょ等を設置してゆう水の排除措置を講ずること。
(4) 採取跡地の保全対策
採取行為を完了し、又は廃止したときは、跡地の崩壊を防止するため、のり面には保護工を施工すること。また、必要に応じて粉じん発生の防止を図ること。
(5) 跡地の利用計画
採取跡地の利用計画は、周辺の環境と調和するよう配慮すること。また、採取しようとする土地が農地の場合は農地に復元すること。
3 公害及び保安対策について
(1) 標識
届出標識及び危険標識は、それぞれ見やすい位置に設置して危険度の減少に努めること。
(2) 立入禁止さく
採取場内は、一般の立入りを禁止し、周囲は有刺鉄線さく、トタン塀、板塀等によって囲い、出入口には扉を設け標識をつけること。
(3) 騒音対策
始業、終業の時間を明確にして騒音公害になるような早朝、深夜作業は行わないこと。
(4) 粉じん等の対策
採取場からの粉じん、運搬路から生ずるホコリ等が周辺の生活環境を阻害しないよう散水、防じん材散布及び運搬車両の洗い場を設置する等適切な措置をとること。また、排水処理の末端が周辺の民地、田畑等に害を及ぼさないよう処置を講ずること。
4 交通対策について
(1) 運搬車の公道への出入口等必要な箇所には、交通整理員を配置して、交通の危険、渋滞の除去に当たり主要な通学、通園路に当たる箇所については、特に安全上の配慮をすること。
(2) 積込場所において規定積載量を超えないよう留意するとともに粉じん防止のため、車両には必ず全面シートを装置し、路面を汚損したときは、速やかに清掃すること。
5 緑の保護及び緑化について
(1) 樹林のうち、景観上その他の見地から重要と思われるものについては、極力その全部又は一部の保存を図ること。
(2) 採取跡地ののり面については、原則として緑化することとし、周辺の状況、掘削前の状態を考慮して次のとおり植樹、植草等を行うこと。
ア 採取に当たり、山林の一部を伐採し付近の景観を悪化させた場合は、植樹植草を併用して行い緑の復元を図るものとする。
イ 前記以外の場合は、植草、種子吹付けを行うものとする。
(3) 採取跡地とのり面の保護工法は、次の参考図をもとに適切に行うこと。
(参考)
斜面の保護工法
1 かや筋工・筋芝工・植生盤等……………………小段肩に使用
2 種まき工
チカラシバ、カゼグサ、エノコログサ、コマツナギ、メドハギ、ヤマハギ、クロマツ、アカマツ、オヒジワ、メヒジワ、ヨモギ、センダイハギ、クローバー、クヌギ等の種子を肥土と混ぜてまく。
3 吹付工
オヒジワ、メヒジワ、ヨモギ、センダイハギ、クローバー等の牧草の種子を肥土と混ぜて吹き付ける。
4 植生盤張付工
5 岩盤のり面には、くず、つた等つる性の植物を植栽すること。
6 植栽樹種
乾燥に強く土壌の緊縛力が強く気候、風土にマッチして成育するもの
クヌギ、サクラ、ウバメガシ、クロマツ、アカマツ、ハンノキ属(ヤシヤブシ、ヒメヤシヤブシ、ヤマハンノキ)、ニセアカシヤ、ネムノキ…………暖地
イタチハギ、ハギ、エニシダ、ハコネウツギ、アキグミ……………喬木につきかん木と混植
(参考)
採取跡地の保護方法