製品を売る

製茶の売り込みこうして仕上げられた荒茶は、西の内(和紙)で作られた「タテ」という丈夫な袋に入れ唐草模様の風呂敷に包んで沓掛・岩井・境・古河などの茶問屋へ自転車に積んで売りに行った。茶問屋への農家からの持ち込みは朝早くから行われた。東の空がようやく白みはじめるころから茶が続々と持ち込まれ、茶問屋の女たちの朝いちばんの仕事は、茶を吟味するための湯をわかすことだった。茶問屋は「拝見茶碗」といわれる。白地の茶碗に茶葉を入れ、熱湯を注ぎ、茶の葉が全開するのを待って、形状・香気・色・渋味・色沢などを吟味し、売り手と相対で値を決める。この売り手と買い手との駆け引きは微妙なもので、「茶問屋は茶を見て買うのではなく、売り手の顔を見て買う」などといわれた。このように茶問屋の主人は神経を使うので、この時期体重が一貫目ぐらいやせるのが普通だったという。

茶独特のうま味は滋味とよばれ、はじめに苦渋味があり後に余甘といわれる甘味を感じるのがよいとされる。味とともに、新茶の香りには「春の精」が宿るといわれ、季節感がただよい人の心をなごませる心地よい爽やかさがある。 最初の茶は、はしりといってご祝儀相場で高いのが通例であるが、日が経つほど安くなるので農家はできたものを毎日売りに行く必要があった。また、その日の製品が翌朝には現金になるということも、経済的に逼迫していた農家にとっては、大きな魅力であった。

「猿島町史」民俗編 第2章 第1節 田と畑 四 茶業

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