晩霜・寒害対策

「八十八夜の別れ霜」ということわざに示されているように、五月上旬の八十八夜前後に気温が急に低下して霜が降り、農作物に大きな被害を与えることがある。ちょうど一番茶の芽がでるころで、茶に期待をかけている農家が最も恐れることである。霜害といっても、霜そのものが害を及ぼすのではなく、霜が降りるような低温が作物の組織の凍死や障害をもたらすものであり、その意味で凍霜害と呼ばれている。

古い記録では、文化七年(一八一〇)内野山から役所へ出された文書に、大雪で茶がみな枯れたことが記されている。文政八年(一八二五)には生子村から、茶樹が枯れたことを理由に年貢免除の願いが出されている。近年では昭和五十九年の凍霜害が大きく、時の農林大臣が被害状況を視察に猿島町へも訪れている。この対策として、昭和五十年ごろから防霜ファンが普及しはじめたが、以前は、夜、星のきらめきがはっきりと認められ風が全く無いようなときは翌朝必ずといってよいほど霜が降りるということを長年の経験で知っていたので、夜中に家内総出でわらや薦で茶樹を覆った。また、茶畑の何か所かで籾殻をくすぶらせる方法も用いられた。煙がいつまでも立ち上がり、空気の対流によって凍霜害を防ぐのである。昭和五十年ごろからは防霜ネットも普及しはじめた。

「猿島町史」民俗編 第2章 第1節 田と畑 四 茶業

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