品種改良

早くから遅くまで長い期間摘めるよう、早・中・晩生の品種が望まれた。これは全国の茶生産者の多年の願いであり、各地でこの条件にかなう育苗研究が行われた。

当地でこの問題に取り組んだ人に、沓掛の倉持三右衛門氏(文久三年〔一八六三〕生れ)がいる。彼は明治二十年から早・中・晩品種の選抜を始め、世に名高い晩生種を選び出し、「倉持晩生」と名づけた。大正十二年には一番茶反収五六三キログラムをあげ、高い収量と経済性を実証した。この功績は猿島地方にとどまらず、近年刊行された茶の関係図書にも紹介されているほど全国にその名が知られている。

従来、当町で栽培されていた茶は「水戸葉」「柳葉」などの品種が主だった。最近は全国的な傾向として「やぶきた」種が多くなり、当町でもこの品種が主流となっている。岩井市にあった農事試験場では昭和十六年ごろから「やぶきた」種の育苗を始め、昭和二十八年からこの苗の頒布を開始している。逆井の野口正夫家宅では、昭和三十一年からこの品種に切り替え茶園の経営に当たっている。

※ なお「やぶきた」種は静岡県安倍郡の杉山彦三郎氏が昭和の初め、自宅近くの竹薮の北にあたる畑から選び出したもので、その名もそのまま「薮北」としたといわれる。

「猿島町史」民俗編 第2章 第1節 田と畑 四 茶業

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